『スーパーホテル』から学ぶ、他社との差別化 ~見える差別化、見えない効率化~

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数あるホテルの中でどこのホテルを選ぶか・・・。

急な出張で旅行サイトを検索して予約。

どうすれば自社のホテルを選択してもらえるか?

それはホテルだけでなくすべての企業で言えること。

今回は「スーパーホテル」の試みについて紹介します。
 
 
それでは~THINK TIME~です。 
 
 
 

スーパーホテルは、従来のホテルとは

資源配分のあり方を変えることで、競争力を高めた。

異業種の企業であっても、ヒト・モノなどの

「経営資源の持ち方」に注目することで、

自社の成長につながる、

新しいビジネスモデルのヒントが見えてくる。

スーパーホテルは、

「チェックインは夜で、出発後に振り返る人はいない」という理由から、

建物の2階以上の外装はシンプルにしている。

スーパーホテルは、

「ビジネスホテル滞在中は、ほとんどの時間は寝ている」ということから、

安眠にはかなりの投資を行う反面、

不必要なサービスは徹底的に削ぎ落とした。

ベッドはゆったりした幅広サイズ、

ドアを重厚にして室内は図書館並の静寂さを確保。

寝心地に直接関係する枕は、客が自由に選べるようにした。

さらにフロントから自室に向かうに連れて、

照明の照度を落とし、眠りに誘導する。

一方で、安眠と無関係なものは大胆にカットした。

携帯電話が普及する中で、室内の電話は撤去し、冷蔵庫も中は空に。

ベッドの脚も、清掃コストがかかるのでカットとした

(お陰で天井までの距離が長くなり、広く感じられる)。

宿泊費は自販機での前払いであり、付加サービスの撤廃によって、

精算が不要となり、チェックアウト自体を無くした。

鍵を返すだけのチェックアウトであれば、鍵も無くせば良いわけで、

宿泊費のレシートに打ち出される暗証番号キーとした。

チェックアウトがなくなり、出発時に待たされることがなくなり、

宿泊客はギリギリまで寝られるようになった。

また、フロントの人員削減にもつながった。

こうしたトータルのコストダウンにより、宿泊料金は廉価に設定された。

『他社が同質化できない仕組み』

それでは既存のホテルは、なぜスーパーホテルに同質化を仕掛けられないのだろうか。

まず単価が下がることは避けたい。

またホテルでは、フロントの接客、従業員の対応こそがサービスの源であった。

さらに、外線電話には手数料を乗せられ、冷蔵庫の飲料は隠れた収益源であった。

これらを簡単に手放すわけにもいかなかった。

ただ安いだけのホテルなら他にも多数あるが、安眠を保証しながらも

(スーパーホテルには、安眠できなければ、返金する仕組みがある)、

不要なコストは削減し、リ-ズナブルな料金に抑えた同社は、

ビジネスホテルの顧客満足(CS)調査でも常に上位に位置している。
 
 
 

ヒト・モノ・カネ・ノウハウを経営資源と呼ぶが、この持ち方を変えるだけで、

新しいビジネスモデルを作ることもできる。

例えば、専門性の高いヒトを、誰もができるように、

また多能工化してきた企業として、

ブックオフ、スタジオアリス(写真館チェーン)、星野リゾートなどが挙げられる。

ブックオフでは、本に詳しい目利きがいないとできないと言われた価格付けを、

マニュアルにより、今日入ったアルバイトでもできるようにした。

属人性が強かった業界で、属人性を排することによって、

新しいビジネスモデルを作り上げたのである。

スタジオアリスは、「既存の写真館の不便さを、

すべて便利に変えること」を目指すことで、発展を遂げてきた。

伝統的な写真館では、長い修行を経て、独り立ちしたカメラマンが館を仕切ってきた。

そして正装して来店した顧客に、フォーマルな写真を比較的高い価格で提供してきた。

しかしスタジオアリスは、普段着で訪れた顧客が、衣装を取り替えながら、

多くのショットを撮影し、その中から自由に写真を選択できるようにした。

スタッフは女性中心で、子どもの緊張をほぐすノウハウを蓄積しており、

撮影から着付けなどの技術がマニュアル化され、

スタッフは複数の業務をこなしている。

また、星野リゾートでは、従来専門化されていたフロント、

調理、清掃、レストランなどの仕事を、1人でできるようにした。

こうした属人性の排除は、他の職人の世界にも移植できるモデルである。
 
 
 

ここでスーパーホテルは

「見える差別化、見えない効率化」

を両立したことについて検証してみよう。

モノに関して、資源配分のウエイトを変えることによって、

全く違うビジネスモデルが生まれることもある。

モノについては、すべてを高級化、差別化すると固定費が高くなり、利益が出ない。

一方、すべてを効率優先にすると、顧客から多くの代価をもらえず、

結果的に薄利になり、利益が出ない。

こうしたトレードオフに対しては、

「見えるところは差別化、見えないところは効率化」

という二刀流で対応する必要がある。

スーパーホテルは、まさにモノの資源配分を変えた例であり、

宿泊料5000円からという低価格料金を実現しながらも、

「安眠」には、他のホテル以上に気を配り、投資をしてきた。

ちなみに過去、よく眠れなかったというクレームの1番の原因は、枕にあった。

同社はホテルの歴史の長いヨーロッパから数々の枕を取り寄せて研究したが、

どれがベストという結論は出なかった。

そこで大きさ、硬さなどが違う数種類の枕を用意し、それを宿泊客に選んでもらうことにした。

自分で選んだ枕に文句を言う客はほとんどなく、枕に関するクレームは激減した。

このように安眠には工夫や投資をしてきたが、

ビジネスホテルに来る客はたいてい夜に到着するので玄関以外は見えず、

翌朝ホテルを出た後に振り返る客はいないということから、

2階以上の外壁はごくシンプルにした。

こうしたメリハリが、高い顧客満足(CS)と低いコストを両立させているのである。

「見える差別化と見えない効率化」は、

比較的高級イメージの商品、サービスの分野で有効であろう。

見えない部分の効率化に関しては、かつてドラッカーは

「コスト削減の最も効果的な方法は、活動そのものをやめてしまうことである」と語ったが、

効率化の要諦は、やめるか、自分ではやらないことである。

出典元:事業構想大学院大学

他社から学び自社に活かすことは

同業者だけでなくたくさんある。

個人でも他者に学ぶ姿勢は忘れずにいたい。

みなさまはどう感じましたか?

考えさせられる記事ですね。

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